田村 星都

 

1980年 石川県小松市に生まれる

2004年 筑波大学国際総合学類卒業

     毛筆細字三代田村 敬星に師事する

2007年 石川県立九谷焼技術研究所実習科修了

2010年 石川県小松市に工房を構える

百貨店、ギャラリーにて個展開催多数

 

九谷毛筆細字について

「九谷毛筆細字(さいじ)技法とは、主に和歌などの古典文学を極細の毛筆で磁器に描き込む技法です。明治以降、九谷焼の繊細な絵付けに見合う表現として石川県の南部地方で独自に発展していきました。現在まで一世紀以上に亘り、田村家に一子相伝の技法として受け継がれています。

 

細字はマンガンを原料とした釉薬で描かれた後、約800度で焼成されます。粘性のある釉薬を用いて極小の文字を描くことは難しく、技術の習得には長い年月を要します。立体で曲面の多い素磁に絵付け全体のバランスを図りながら、細字を描く作業は裸眼で行います。また、器の内側に描く際は、下から上に引くなど通常とは異なる書き順を用います。独自のさまざまな工夫を凝らしながら、極小でありながらも書としての美を兼ね備えた文字表現を目指しています。 

 

九谷焼は、石川県南部の金沢市、加賀市、小松市、能美市で生産されている色絵磁器です。江戸時代初期1639年頃、加賀国の江沼郡九谷村(現・石川県加賀市山中温泉九谷町)から、磁器の原料となる陶石が産出されたことからその歴史が始まりました。

 

加賀国の南西、大聖寺藩を治める前田 利治は茶人でもあったことから、この陶石を使って磁器を生産し、藩の産物にしようと思い立ちます。家臣の後藤 才次郎を磁器製作の先進地・肥前国有田(現・佐賀県西松浦郡有田町)に派遣し、作陶技術を学ばせることにしました。修行を終えた後藤 才次郎は1655年頃九谷村に窯を開き、田村 権左右衛門らを指導し色絵磁器の生産が始まりました。