小林 泰三 /牧 かほり

 

小林 泰三 /神楽面作家

1980年島根県生まれ。

11歳より島根県伝統工芸品「石見神楽面」の技法を学び、28歳で(株)小林工房を設立。石見神楽面の制作、修理、復元を中心にしながら、近年では石見神楽面特有の技法である「脱活法(だっかつほう)」を活かした「和紙レリーフ作品」を製作し、旅館やホテルの装飾も手がけている。

 

牧 かほり/グラフィックアーティスト

花、植物、生き物をモチーフに描き、一枚の絵から、プロダクトや映像、スペースデザインに展開する活動を続けている。
自身の創作活動とともに国内外のアーティスト/企業とのコラボレーションを多く手がけ、近年アップル社、Adobe Systems Inc.との共作をきっかけにデジタル、アナログ手法を重ねて制作している。

1992年日本大学芸術学部卒業 / Art Student League of NY修学

 

芸能の神様。岩戸に隠れた天照大神を救う際、上半身を裸で踊り八百万の神々を大笑いさせた日本初の踊り子と言われます。このとき舞った踊りがこの面の作者である小林氏の活動拠点、石見神楽の原型とされています。

 

 

 

一方で「天孫降臨」の際に猿田彦神に出会い妻となる天宇受売命は、縁結びの神としても祀られています。このお面は口元から流れる美しい声が世界に響き、扇を模した形のまつ毛が、芸事の技術向上、発展、成功をもたらすことを意味しています。また左目元の涙は哀しみや苦しみを黄金の輝きにかえる力の象徴です。芸術、芸能、縁結びと華やかなご利益が重なる面となります。

 

島根県は、出雲、石見、隠岐の三国から成り立ち、日本の中でも神々の集まる地として有名です。毎年、旧暦の10月には、全国の神々が出雲国に集まるため、この月を「神在月(かみありつき)」ともいい、県内各地の神社ではいたるところで「神楽」が奉納されます。

 

石見地域の「石見神楽(いわみかぐら)」は、八調子(はっちょうし)と呼ばれるテンポの速いお囃子にのせ、動きの速さと豪快さが見どころで、見る人が楽しめる芸能として発展し、国内はもとより海外の鑑賞者を魅了しています。石見の人々はこの「石見神楽」を愛しており、今もなお、神楽面を玄関に飾る風習が残っているなど、生活の一部として溶け込んでいます。