山中象堂
讃岐一刀彫は叩きノミの刀痕をそのまま仕上げに生かす彫法を特徴とする、香川県の伝統的工芸品です。何種類もの叩きノミや仕上げノミを使い分けることによって生まれる荒々しさと細やかさの調和こそが、讃岐一刀彫の魅力です。
山中象堂は刀痕を生かすために一木造りで彩色をほどこさず、漆塗り又は木地色に仕上げることが多く、ノミざわりが良く、色付け後の仕上がりが美しい、楠材を使うのが特徴です。
天保八年、金毘羅大権現の旭社建立の折、全国から集まった宮大工が手すさびでだるまなどを彫ったのが始まりと伝えられる讃岐一刀彫の技法は、明治三十一年開校の琴平工業徒弟学校の彫刻科に伝承され、第一回卒業生である山中 象堂(篤一)らによって明治末期に大成しました。
その独自の意匠と精巧な技法を受け継いだ2代目象堂(篤)は他に類を見ない高度な作品を数多く生み出し、昭和四十年天皇皇后両陛下の四国行幸啓に際しては、讃岐一刀彫実演の栄に浴し、昭和六十年にはその作品が香川県伝統工芸品に指定され、平成八年伝統産業技芸の部で県知事表彰を受けるなど、名誉ある実績を残しました。
そして、現在これらの伝統技術を受け継ぎ、デザインや表現を改良しつつ数多くの秀作を手掛けるのが3代目象堂、山中 竹志です。近年、後継者育成にも力を入れ、娘である小野 希と共に作り出した現代風「POPだるま」は全国的に注目を浴び話題となってます。