郡上本染 渡辺染物店
筒描と呼ばれる紺屋伝統の技法を用いた藍染製品です。白生地に手描きで餅糊を置いて図柄を描き、大豆の絞り汁(呉汁)に顔料を混ぜて彩色します。その後、発酵させた天然藍に何度も浸し、清流で水洗いし、天日干しする、昔ながらの染め方で製作しました。
天然の藍には、青色色素と、茶や黄の草木の成分が含まれており、染めて水洗い乾燥することで生地に定着していきます。染めては干しを繰り返す事で、青に、そして深みのある藍色までに染め上げていきます。また、この天然藍には防虫・抗菌効果もあるといわれ古くから風呂敷や衣類として親しまれています。
郡上本染 渡辺染物店は、1580年創業以来、400年以上続く日本伝統の「正藍染」を継承しています。正藍染とは天然の藍を原料とした伝統の染色技法です。
近年、化学染料での藍染が主流となるなか、「紺屋(こうや)」と呼ばれる正藍染の染物店は数少なくなりました。私どもの店は、「筒描」と呼ばれる手染め技法で、1点1点、手作業で柄入れをし、何度も何度も丁寧に染めていきます。正藍染の美しさを引き出し、手作りの温かさが伝わる本物の藍染を守りつづけております。また、冬の大寒に、身を切るような冷たい清流で行われる「鯉のぼり寒ざらし」は、郡上八幡の冬の風物詩。郡上本染の手染めの鯉のぼりは、色彩が鮮やかで、個性的です。
郡上八幡は岐阜県のほぼ中央に位置し、江戸時代に築かれた「郡上八幡城」を中心とした城下町で、今でも当時の古い町並みが色濃く残っています。山懐深くたたずむこの郡上八幡の街の中央を流れる吉田川は、鵜飼や鮎で有名な、日本を代表する清流、長良川の支流です。吉田川や谷川から引かれた水路が町中に張り巡らされており、せせらぎの音が心地良く響くことで「水の町」としても知られています。この清らかな冷水が藍染には欠かせず、郡上本染を育んできました。
冬の厳冬の中行われる「鯉のぼり寒ざらし」は、郡上八幡の冬の風物詩。色彩が鮮やかな鯉のぼりが清流を泳ぎます。また、日本三大盆踊りの1つ「郡上おどり」が有名で、お盆の8月13日~16日は徹夜で踊り明かします。
2013年 常陸宮同妃両殿下に鯉のぼりの寒ざらしの御視察を賜り、案内役を務める。
2016年 皇太子同妃両殿下の御視察を賜り、案内役を務める。
2018年 先代14代目(岐阜県重要無形文化財)の跡を継ぐ。
2019年 郡上市重要無形文化財の指定を受ける。