天明屋 尚
天明屋尚は、日本伝統絵画を現代に転生させる独自の絵画表現「ネオ日本画」を標榜し、華美(過美)で覇格(破格)な美の系譜を「BASARA」として提唱。2006年にサッカーW杯ドイツ大会FIFAワールドカップ公式アートポスターでは、日本代表作家として唯一選出されました。また、2008年に、香港で開催されたクリスティーズのオークションで作品「RX-78-2 傾奇者 2005 Version」が競売に掛けられ、481万香港ドル(約6,400万円)で落札し国際的に注目されました。伝統的に描かれてきた技法を継承しながらも、これまでの日本画の常識や慣習を打ち破り、かつ発展的に改変し、現代に生きるテーマを積極的に取り入れたコンセプトと世界観は国内外から高い評価を得ています。日本を代表する現代アーティストの一人です。
「ネオ日本画」とは、画材や素材に依拠した概念ではない。線描表現(鉄線描、肥痩線、白描など)、たらし込みなどの伝統的な技法はもとより、余白や装飾、精神性や象徴性といった要素を継承しつつも、アクリル絵具等の新素材を用いて、現代風俗や社会諷刺、仏画、禅画などを描いている。このように古典のエッセンスを引用しつつ現代を活写しうるものこそが、現代の「日本画」であると考え、それを「ネオ日本画」と定義する。そもそも「日本画」は江戸時代以前に存在せず、明治期に洋画の対極として作られた概念である。「ネオ日本画」は、その「日本画」の近代から現代にかけての、画壇の権威構造の有り様を切断し、一線を画すことで、「日本画」以前の各流派の表現のあり方を現代的に試みた様式である。
日本文化の特質として、日本は古来から外来文化を素早く取り入れ、そこに独自の洗練を加えることで、創造性の高い文化としてアレンジしてきた歴史があります。天明屋尚は、室町時代の「婆娑羅(ばさら)」、戦国時代の「傾奇者(かぶきもの)」といった日本的反骨の美学を継承しつつ、そこに描かれたポップ的な表層と美意識を取り込むことで、日本の風土に根差した唯一無二の「ネオ日本画」というジャンルを確立した現代の画家です。
【主な受賞歴】
1990「第11回日本グラフィック展」審査員賞受賞
2003「第6回岡本太郎記念現代芸術大賞展」優秀賞受賞
【パブリック・コレクション】
チェゼン美術館(マディソン, アメリカ)
ヒューストン美術館(ヒューストン, アメリカ)
南オーストラリア州立美術館(アデレード,オーストラリア)
高松市美術館(高松)
高橋コレクション(東京)
タグチ・アートコレクション(東京)