高松 啓二

 

高松啓二がつくり出す「ペーパークラフト」は「光と影」を巧妙に演出した作品です。「光」が当たることで出来る「影」の現れ方を考え抜き、人物に奥行が出てくるよう背景や模様、使用する紙の選択、カラーリングに至るまで全体の造形美を創り上げます。イラストレーターでもある高松は、人間の表情を巧みにデフォルメする能力に長けていますが、手描きの線が紙をカットした線に変わることで、現代的でシャープな表情をつくり出しています。

 

 

高松啓二の「ペーパークラフト」に見る、光の当たり具合で幾重にも表情を変える表現は、言うなれば2.5次元の世界で生きているようなユニークな人物たちを生み出しています。特に女性をモチーフにした作品は、女性ならではの艶やかで、しなやかな指先の動きに心を奪われます。また、繊細なまつ毛や髪、潤いを感じさせるような瞳と唇は、そのカタチだけでじつに様々な表情をつくり上げています。

 

 

日本文化の特質として、日本は古来から外来文化をすばやく取り入れ、そこに独自の洗練を加えることで、創造性の高い文化としてアレンジしてきた歴史があります。 このように日本の風土から生まれた、二次創造としての文化遺伝子は、日本の現代アーティストたちに脈々と継承されています。高松啓二は、日本を代表する用紙メーカーである「竹尾」のファインペーパーを使って、日本独特の図工から生まれた色彩と質感を表現しています。

 

 


 

1958年生まれ

1981年東洋美術学校卒業

1987年イラスト事務所(有)T-BONE STAKE設立。

イラストレーターの仕事と並行して、ペーパークラフトアーティストとしての活動をする。

1999年グレートワンギャラリー個展

2008年フランスパリで個展

2010年「シネマ・クローゼット 高松啓二イラスト原画展」そごう横浜店4階特設会場