ギャラリーとよなか

      

香川県三豊市で作られる「岡本焼」は、焼き上がりの色が千差万別で、見る角度によって色が変わるような深い色合いが特徴の陶器です。一般的な焼き物には釉薬が塗られていることが多く、焼成すると表面にガラス状の膜ができますが、岡本焼は釉薬を使用しない製法であり、焼成の過程で使用される国産赤松の煤が作品に降り注ぎ付着することで、自然と釉がかかった状態となり、独特の色合いを生み出しています。釉薬を使わないので焼成した後も素地そのものが呼吸しており、岡本焼のカップでコーヒーや水を飲むと味がまろやかに変化すると言われています。

 

 

「ギャラリーとよなか」は1998年に若手陶芸家の育成・振興を目的として、岡本焼の直売店として設立されました。自社独自の登り窯にて作品制作を行うとともに、ギャラリーでは数多くの岡本焼の作品を展示販売しており、全国のお客様にお越しいただいています。
窯入れは年に一度のみで、窯の温度を1200度以上に上昇させてから数日かけて焼き上げています。熟練の技術を生かし、音を聞き、炎を見ながら必要に応じて薪をくべていきます。窯の中の作品の詰め方や段によっても温度の差が生じるため、その調整にも職人の経験と感覚が欠かせません。炎を操る卓越した焼成技術によって、岡本焼特有の深みのある色合いを生み出しています。岡本焼は、使い込むほどに器の色合いが変化し、楽しみも出て、愛着がわいてくるものです。香川県内唯一の岡本焼の窯元として、器のある暮らしを多くの方に楽しんでいただけることを目指して、作品を制作しています。

 

 

香川県三豊市一帯では、粘土質の良質な土と、薪の材料になる赤松が多かったことから、7世紀ごろには須恵器が盛んに焼かれていました。岡本焼の技法は明治時代に確立され、現在に至るまで焼き物に適したこの地方の土が利用されてきました。明治終わりから昭和初期にかけては農家の副業として発展し、九州・中国・四国地方に展開が広がりました。現在においても昔ながらの登り窯焼成法にて作られており、1986年には香川県の伝統的工芸品に指定されました。