松井 宏之

松井宏之は、備前焼の伝統を尊重しつつ現代的な感覚を取り入れる陶芸家です。金融界から陶芸への転身を遂げ、森陶岳師匠のもとで修行後、相生市にて独立。土や窯焼成の質感を活かし、シンプルかつ力強い造形を追求します。登り窯での焼成や大甕の制作を得意とし、釉薬に頼らず、素材の生命力を土そのものから引き出します。その作品は伝統の精神を継承しつつ、新たな表現として備前焼を再定義しています。

 

 

彼の作品は、備前土の自然な色合いや手触りを最大限に活かす「素手のような」スタイルが特徴です。釉薬を使用せず、薪の灰や焼成環境が自然釉となる登り窯を用いて、偶然性を含む質感豊かな表面を生み出します。土の温かみを感じさせる厚みのある造形と、力強さを併せ持つ形状は、自然素材を扱う陶芸家としての深い理解を示します。また、高さ100cm・径80cm・重さ120kgに及ぶ大甕(三石甕)制作も可能で、素材・焼成・技術を統合した作品世界を展開しています。

 

 

松井は現在、兵庫県相生市に自ら築いた登り窯を持ち、備前焼の核心である自然な焼成環境を自らの手で保持しています。相生市工房では、地元備前土や薪を焼成に用い、数十日間かけて焼き上げるプロセスを重視。また、東京赤坂のギャラリー小川など都市部でも精力的に発表を行い、地方の手仕事と都市のアート市場を結ぶ活動を展開。国内外での個展にも参加し、備前焼の普及とその風合いを活かした現代表現を通じて、多様な場で評価されています。

 

 


 

2001年    森陶岳に師事、新大窯プロジェクト参加開始

2005年    英国で文化庁海外研修プログラムにより研鑽

2009年    「アトリエ・ヒロ」(大阪・淀屋橋)にて個展/第39回全日本陶芸展入選

2010年    第4回現代茶陶展(織部の日記念)に選出

2011年    第26回国民文化祭(京都・陶芸部門)入選

2013年    第6回現代茶陶展選出/神楽坂・八重洲・天満屋岡山で個展

2015年    日本陶芸展ファイナリスト入選

2024年    東京銀座・無限庵にて個展、ヴェネツィア・ビエンナーレ参加

2025年    米サンディエゴ日本庭園に三石甕寄贈

その他、上海/台北/ニューヨーク/パリ/ケルン/ボン/サンディエゴ/バンコク/ベネチアなど世界各地で個展開催