宮澤 章
宮澤章は、1950年秋田県生まれの益子焼の陶芸家である。1976年に栃木県益子町で独立し、以後、日本国内外を問わず個展を中心に発表を重ね、自身の制作スタイルを深めてきた。1994年には朝日現代クラフト展に招待出品され、その後も主要展や作家企画展に継続的に参加している。独自の「積化象嵌(せっかぞうがん)」という技法を確立した。茶陶にとどまらず、オブジェ作品としても評価が高く、詩情あふれる静かな美しさを持つ。宮澤の作品は土と手の営みを通じて、自然の律動を感じさせる独自の造形世界である。

宮澤章の作品は、独自の「積化象嵌」技法によって形成される特徴的な造形を持つ。電動のろくろは使わず、手びねりで土を紐状に積み重ねていくことで生まれる彫像的なフォルムと、焼成後に削りや埋め戻しを施した表面の独特な質感が際立っている。作品には手びねりの跡が残り、時間の経過や制作過程が感じられる自然な風合いがある。

益子焼は栃木県益子町を中心に作られる陶器で、1853年に笠間焼の技術を受け継いで始まった。厚手で素朴な造形と、柿釉・飴釉・藁白釉など多彩な釉薬による温かみのある色合いが特徴で、日常使いに適した丈夫な器として親しまれている。昭和初期には陶芸家・濱田庄司が益子に窯を構え、民藝運動の中心地としても知られるようになった。現在は伝統を受け継ぎつつ、若手作家による現代的な作品も多く、暮らしに寄り添う器として幅広い世代に支持されている。
1987年 第9回日本陶芸展 入選
1989年 第10回日本陶芸展 入選