小西由起

 

Crafting with Urushi Lacquer / 漆のものづくりについて

漆は漆の木から採れる樹液で、天然の素材です。漆の木から樹液を採取出来るようになるには15年前後かかります。そして一本の漆の木から採れる漆は、わずか200g、牛乳瓶一本程度しかありません。

 

「漆の一滴は、血の一滴。」

 

そんな貴重な漆から生み出される漆芸は日本の伝統工芸で数百年の歴史があり、美しい作品を仕上げるためにたくさんの複雑な工程を経ています。毎日こつこつと作業を積み重ねた結果、数カ月をかけて一つの作品が仕上がるのです。膨大な手間と時間のかかる仕事ですが、丁寧な作品づくりで素敵な作品をお届け出来るように、日々取り組んでいます。

 

はじめまして、漆作家の小西由紀です。竹や木や布や和紙など素材の風合いを活かした作品づくりと、蒟醤(きんま)による表現を追求しています。

 

この度は私の作品を選んでいただき、ありがとうございます。あなたの毎日を彩りながら、ほんの少し豊かな時間を提供できる、そんな作品であれたらと願っています。これからも精一杯心を込めた作品作りに取り組んでまいります。応援いただけたらうれしいです。

 

About the Kinma Technique / 蒟醤技法について

蒟醤は「きんま」と読みます。とても難しい漢字ですよね。この技法はタイやミャンマーに起源を持ち、室町時代中期頃に日本に伝来しました。江戸後期から明治期にかけて、讃岐高松の玉楮象谷(たまかじぞうこく)が研究を深め、”香川の三技法”の一つとして今日まで受け継がれてきました。

 

蒟醤は下地・塗りを施した面に、ケンと呼ばれる特殊な彫刻刀で模様を彫り、彫り下げた凹の部分に色漆を埋め、砥石や炭で平らに研ぎ出すことで独特の模様や線や意匠を表現します。彫った箇所に漆を充填し研ぎ出すため、地域によっては漆象嵌(うるしぞうがん)と呼ばれることもあります。点彫りや線彫りや様々な彫り方があり、日々進化を続けている最も新しい伝統的技法の一つです。

 




 

作者略歴
滋賀県出身
2023年 伝統漆芸展 入選
2024年 香川県漆芸研究所 研究員課程 修了
2024年 日本和文化グランプリ 奨励賞受賞
2025年 林原美術館掌展 優秀賞受賞