大坪直哉

 

金沢漆器は、加賀藩の保護下で発展した伝統工芸であり、堅牢な塗りと精緻な加飾を特色とします。漆はウルシノキの樹液を精製した天然塗料で、高い耐久性・耐水性・抗菌性をもち、日本では縄文時代から使用されてきました。金沢では室町期以降に技法が整い、江戸期には蒔絵・螺鈿など高度な装飾が洗練され、茶道具や調度の名品を数多く生み出しました。現在も加賀蒔絵を中心とした技術体系が継承され、国指定の伝統的工芸品として国内外で高く評価されています。

 

 

私は金沢を拠点に、伝統的な漆芸技法と現代的な感性を融合した作品づくりを行っています。輪島漆芸技術研修所で蒔絵・螺鈿・乾漆・曲輪などの技法を学び、現在は器や装身具を中心に、漆の持つ深い魅力を生かした作品制作に取り組んでいます。とくに「うるはしリング」シリーズでは、漆の新しい表現と可能性を探りながら、身につける工芸としての漆を提案しています。百貨店での展示や海外での販売にも挑戦し、伝統を大切にしながら、現代の生活に寄り添う漆芸のかたちを発信し続けています。

 

 

金沢は加賀藩前田家の城下町として発展し、武家文化と町衆文化が息づく歴史都市です。金沢漆器、加賀友禅、金沢箔、九谷焼など多様な工芸が育まれ、国の伝統的工芸品に指定された分野も多くあります。市内では工芸の展覧会が随所で開かれ、金沢21世紀美術館では現代アートも発信されています。伝統と現代が調和する都市として国内外に知られ、工芸を学べる高校・大学・研修所も充実しており、そこから育った作家たちが互いに切磋琢磨しながら活動しています。




 

1985
青森県生まれ
金沢学院大学 美術文化学部 美術工芸学科 — 2004~2008
前史雄先生、市島桜魚先生より沈金・蒔絵・髹漆の基礎を学ぶ。
石川県立輪島漆芸技術研修所 — 2008~2011
普通研修課程 榡地科に入学し、様々な木地づくりや塗りの技術を教わる。
株式会社 能作 — 2013~2016
営業・販売員として漆器の販売に携わる。
2016~
金沢漆器作家として独立
2023~
石川県立輪島漆芸技術研修所助講師
作歴
2009
第50回記念石川の伝統工芸展 奨励賞
以降53回まで入選
2011
第29回日本伝統漆芸展 入選
2012
銀座一穂堂「挑戦者たちの漆展」 出品
2018・2020・2022・2024
銀座ギャラリーおかりや 個展
2019
京王百貨店新宿店 個展「夜光のうつわ」
2023
金沢東山 高木糀商店 個展
2024
日本和文化グランプリ 優秀賞
2025
日本橋三越本店 「Dear Watch Lover」