小塚工房
KIRIKANEは、名前の由来ともなっている金箔装飾技法“截金”を銘木に施したアクセサリーです。截金は4枚に焼き合わせ厚みをもたせた金箔を竹刀で線状や形状に切り分け、それらを貼り合わせて細密な文様を施します。主に仏像や仏画などの装飾に使用されており、荘厳かつ優美な世界観を表現するのに欠かせない技法です。しかしその繊細さゆえに装飾後の耐久性に乏しく、直接手で触れるような実用品に施すことは不向きでした。そこで金箔を貼る際に使う膠とふのり(海藻)の代わりに接着強度の高い漆を代用する独自の技法を編み出しました。KIRIKANEは仏教美術が放つ繊細で美しい金箔装飾を纏うことのできる唯一無二のアクセサリーです。


制作者の小塚桃恵は寺社仏閣や文化財の修復また仏像など木彫刻の彩色を手がける小塚工房の職人です。截金との出会いは一冊の本がきっかけでした。それから古い仏像を見てまわり、本を頼りに実践を重ね独学で截金の技法を学びました。そしてこの美しい金箔装飾を見るだけにとどまらず、より身近な工芸品として活用できないかと思いつき截金の耐久性を上げる技法を研究しました。金箔の接着に漆を選んだ理由は、漆が古来より工芸品や仏像などに使われており経年変化における信用性が高いと考えたためです。完成時の美しさだけではなく、その先々も人から人へ受け継いでいけるようなものでありますように、仏像修復をする時と同じ想いで制作しています。


截金技法はおよそ1400年前、飛鳥時代(7C)に仏教美術と共に日本に伝えられました。その技法は徐々に日本で定着し、全盛期は主に平安時代から鎌倉時代(8C~14C)と言われています。しかし江戸時代(17C)の頃までには金粉を絵具のように溶かして文様を描く金泥描きというより簡易的な技法が主流となり、截金をする職人は減っていきました。現在も截金職人の数は少なく、継承が難しい日本の伝統技法のひとつです。截金は主に仏像の纏う衣の柄として施されていますが、截金で描く文様は全て切り分けた金箔で構成されているため一本の線が髪の毛ほどの細さであっても光を反射して強い輝きを放ちます。そのため制作から数百年を経た現在に至っても仏像や仏画の中で截金文様が光り輝く様子をお寺や美術館などで目にすることができます。

