野田怜眞
石川県能登町で生産されていた合鹿椀から着想を得た。 本来、高台は床で食べやすいように高く造られていたが、私にはその高くどっしりとした姿が頂く生命の祭壇のように見えて感謝と祈りの象徴として表現している。 一度は生産が途絶えてしまった合鹿椀が、システム化された現代の食材に対する感謝の薄れを暗示しているように感じ、改めて自然の中で生かされているということを実感したく制作した。

乾漆・脱活乾漆・木芯乾漆などの成形技法に、蒔絵・螺鈿といった装飾技法を複合させ、軽量性・堅牢性・精神性を兼ね備えた造形を研究。伝統技術を基盤に、現代的な象徴性を重ね合わせることで、漆芸を現代と接続することを目指しています。

石川県で3年間過ごしたことで、産地の人々の伝統文化に対する熱い思いに触れてきました。能登震災では、多くの知人が被災されました。現在、全国の漆芸関係者が団結し、復興を支え合っています。私にできることは、より多くの人に伝統文化である漆芸を知ってもらうことだと考え、これまで以上に制作に励んでいます。
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