仙台堆朱


仙台堆朱は、宮城県仙台市で生産されている漆器であり、宮城県知事指定伝統的工芸品に選定されている。堆朱(ついしゅ)とは、彫漆(ちょうしつ)という中国で生まれた漆器づくりの技法の一つで、日本では木地に赤い漆を幾重にも塗り重ねて絵柄を彫り出したものを指す。仙台堆朱は、朱色を塗り重ねた上から黒で古色を入れる独特の技法を用いており、細微な彫刻と東洋的な色彩美が大きな魅力である。

製品は硯箱、文庫、茶托、菓子鉢など多岐にわたり、2011年にはグッドデザイン賞を受賞するなど、現代の生活にも調和するデザイン性が高く評価されている。実用的かつ頑丈で、約100年にわたり仙台の誇る郷土工芸品として愛され続けている。

 

仙台堆朱は、木彫から研ぎ・塗りまで手作業で制作され、手間ひまをかけてつくりだされる実用的な漆器である。型取りで作った精巧なレリーフで木地を覆う独自の製法による「東華堆朱」で、丈夫で扱いやすい漆器の量産化が実現した。また、耐熱・耐水性に優れるという実用面での強みも持ち合わせている。現在は、木地に直接彫刻を施し、研ぎから塗りまでを一貫して手作業で行う手法が受け継がれている。丁寧に磨き上げることで生まれる層状の紋様は、一点ごとに異なる深い表情を見せる。

 

仙台における堆朱の歴史は、藩政時代の漆器作りが途絶えて久しかった明治時代末期、新潟県の村上堆朱の職人・川崎栄之丞が仙台に招かれたことに始まる。川崎は独自の量産技術を確立し、高価だった漆器を庶民にも普及させ、その後、技術を継承した蒔絵師でもある南忠が、戦後の昭和20年代に「仙台堆朱製作所」を設立し、現在の基礎を確固たるものにした。現在は、この製作所が仙台で唯一の工房となり、孫にあたる3代目が伝統の技を守り続けている。