シン・フジワラボン


藤原盆は、群馬県みなかみ町・藤原区に江戸時代から伝わる木製刳り物で、約300年の歴史をもつ工芸品である。その藤原盆を再興したのが、シン・フジワラボンである。藤原盆の形や精神を受け継ぎながらも、現代の料理や空間との調和を意識し、暮らしの中で新たな価値を生み出す器として進化し続けている。「シン・フジワラボン」という名称は、現代日本を代表する思想家であり、『シン・ニホン』の著者である安宅和人氏から贈られ、伝統を守り継ぐだけでなく、現代の人々とともに未来へつないでいくという想いが込められている。

 

シン・フジワラボンは、藤原地区の広葉樹を使用し、木取り、粗彫り、仕上げ彫り、漆塗りという伝統的な工程を経て制作されている。藤原盆の特徴である、職人が鑿(のみ)で刻んだ力強い放射状の彫り跡は、シン・フジワラボンにも継承され、一つひとつ異なる手仕事ならではの表情を生み出している。木材本来の美しさを生かしながら、現代の食卓に合わせたサイズ感や用途へと再構成されており、実用性と造形美を兼ね備えた器として、伝統工芸の新たな可能性を示している。

 

シン・フジワラボンが生産されている群馬県みなかみ町は、ユネスコエコパークに登録されており、自然環境の保全と持続可能な地域づくりが進められている。全国有数の豪雪地帯である藤原地区では、冬の農閑期に木工が盛んに行われてきた。シン・フジワラボンは、地域の木材と伝統技術を生かしながら制作されており、藤原盆の文化を現代へ継承する取り組みとして生まれた。

 

次世代への文化継承を目的として、地域の子どもたちへ藤原盆やシン・フジワラボンについて伝える活動も行われている。