石井康治
石井康治(1946–1996)は、独自の文様技法と豊かな色彩表現によって、日本の現代ガラス工芸を牽引した作家である。1971年に東京藝術大学工芸科を卒業。その後、東洋ガラス株式会社で製品デザインに携わりながら自身の制作も継続し、1977年からは創作活動に専念した。1991年には青森に「石井グラススタジオ青森工房」を開設し、北国の自然や風土を創作の源泉として数多くの作品を発表。また、「いいちこシルエット」やAGF「炭焼珈琲」のボトルデザインも手がけ、プロダクトデザインの分野でも活躍した。
石井康治の作品は、豊かな色彩と詩情あふれる表現を特徴とする。作家は創作理念を「詩・季・彩」という言葉で表し、青森の自然や四季の移ろいを主題とした作品を制作した。色ガラスを用いた鮮やかな色彩表現に加え、「彩烈文」「彩花文」「環象文」など独自の文様技法を考案し、多彩な表現を展開した。北国の光や風、季節の情景を映し出した作品群は、日本の現代ガラス工芸に独自の足跡を残している。
ガラス工芸は古代メソポタミアやエジプトに起源をもち、中世ヨーロッパではヴェネチアを中心に高度な技術と芸術性を発展させた。日本では江戸時代にガラス製造技術が広まり、近代以降は欧米の技法や表現を取り入れながら独自の発展を遂げてきた。石井康治はこうした流れの中で、青森の豊かな自然環境を創作の源泉とし、北国の四季や風土を主題とした作品を数多く制作した。光の移ろい、雪景色、花々などを色彩豊かに表現し、地域の自然と現代ガラス表現を結びつけた。
1985年
三和酒類「いいちこシルエット」ボトルデザイン
ジャパンパッケージデザインコンペティション 特別賞
1987年
AGF「炭焼珈琲」ボトルデザイン
ジャパンパッケージデザインコンペティション 優秀賞