輪島塗
輪島塗は、石川県輪島市で生産される漆器である。その歴史は室町時代頃までさかのぼるとされ、江戸時代には現在の輪島塗の基礎が築かれた。1975年には国の伝統的工芸品に指定され、1977年には輪島塗の製作技術が重要無形文化財の保持団体として認定されるなど、日本を代表する漆器として受け継がれている。
輪島塗は、木地を布で補強する「布着せ」や、「地の粉」を用いた下地づくりを特徴とする。「研ぐ」「磨く」など100以上ともいわれる工程を経て完成し、それぞれを専門の職人が分業で担うことで、堅牢さと美しさを兼ね備えた漆器が生み出される。さらに、彫刻した溝に金粉を埋め込む沈金や、金粉・銀粉を用いて文様を描く蒔絵などの高度な加飾技法が施され、輪島塗ならではの優れた装飾性を生み出している。
輪島市は能登半島北部に位置し、古くから漆器づくりが盛んな地域である。輪島周辺で産出される珪藻土を原料とした「地の粉」は、輪島塗の下地づくりに用いられ、高い強度と耐久性を備えた漆器を生み出す重要な役割を果たしている。この土地ならではの素材と分業による高度な職人技によって、輪島塗の品質が支えられている。